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interviewGreen Leaves
hoshimi選手

2019年5月にかけて実施されたオーバーウォッチの公式大会であるContenders Trial: Pacific を勝ち抜きContenders出場を決めたGreen Leavesのhoshimi選手に大会への取り組みやゲームとの出会いや上達法など気になることを伺ってみた。

ここからが本当の勝負

『オーバーウォッチ』のメジャー大会であるContenders:Pacificへの出場おめでとうございます。今大会への出場に関して、どのような想いがありますか?

hoshimi選手

Contendersへの出場を決めるには、多くのトーナメントを突破する必要がありました。太平洋地域から108チームが参加したOpen Division、そこから勝ち上がった16チームによるOpen Division Playoff、さらに勝ち上がった4チームとContendersにいた4チームによるContenders Trials。これら全ての戦いを勝ち抜き優勝して、Contenders : Pacificへの出場が決まった瞬間は、確かに嬉しかったですね。
ですがContendersに出場することが最終目標ではありません。ここまで来るのは確かに長かったですが、まだ舞台に立っただけです。ここからが本当の勝負です。
嬉しいと言えば嬉しいですが、喜ぶにはまだ早い。勝って兜の緒を締める、って感じですね。

去年もContenders出場まであと一歩のところまで迫ったことがありましたが、その時のことについてお話しいただけますか?

hoshimi選手

まずContendersの一つ下のトーナメントにあたる Open Division Playoffにおいて、Global Esportsと戦った試合  がありました。この時私たちはある特殊な戦法を使って、プレイオフまで上り詰めていました。この戦法は通称GOATSと呼ばれる戦法で、凄く簡単に言い表すと、チーム全員が巨大な岩のような「一つの塊」になって動く戦法です。この戦法を突き詰めていたのが去年のGreen Leavesでした。

しかし決勝の相手がこちらの戦略に対して、明確なカウンターとなる戦法を用意していました。このカウンター戦法を凄く簡単に表現すると、チーム全体が掴みどころのない雲のようにバラバラに動く独特な戦法で、これがとても攻略しにくかった。相手がぶっつけ本番でその戦法を使ってきたので、こちらはとても面喰らい「どうやってこの戦法に対応していけばいいのか」という点で明確な答えを試合中に用意できませんでした。とは言えOpen Division Playoffにおいては戦法の練度に差があり、どうにか勝利をもぎ取ることができたんです。

問題は次のステップとなるContenders Trialsでした。Open Division Playoffが終了して、たった1週間で次の舞台となるContenders Trialsが始まるのですが、この期間で対応策を用意し、チーム単位で身につけるかどうかを検討しなければなりませんでした。次にまたGlobal Esportsと当たった場合、カウンター戦法をぶつけてくることは容易に想像できたので。
もちろん対応策を考え付くこと自体はすぐにでき、試合直後にはほぼ結論が出ていました。しかしそれをチーム全体で身に着けられるかどうかは、完全に話が別でした。

それは練習時間が足りないということですか?

hoshimi選手

練習時間が足りないのもそうです。
チーム全体が一つの戦略を実行する時に、それぞれの個人プレイを武器にフィーリングで連携を取るというのは、そこまで珍しい光景ではありません。しかし一定のレベルを超えてくると、そのフィーリングのみを手掛かりにして連携を取るのは難しくなっていきます。
綿密な決めごと、情報共有、緻密な合わせ技。そういったものを習得するには想像以上に多くの練習時間を必要とします。しかも一人で練習をしても効果は薄く、チーム全員が揃っている状態で練習をしなければほとんど意味がありません。

また既に得意な戦法を持っていたことが、別の戦法を採用する際に、二の足を踏む原因となりました。去年のGreen Leavesは先ほど話した得意な戦法(GOATS)があったのですが、この戦法を形にするまでに実に約数カ月の時間を要しました。毎日チーム全員が集まって、練習試合と反省会を繰り返し、悪い部分を少しずつ取り除き、良い要素を取り込んでいく──この繰り返しで練り上げていきました。一つの家を改修していくような作業です。もちろん突貫で行うことはできますが、そうすると歪みや弱い部分が生まれ、想像もしない方法で壊れてしまいます。こつこつと毎日練習して作り上げた得意戦法と、1週間の急ピッチで用意した対応策。一体どちらが信頼に足るか。どちらの方がより戦法として機能するか。

チーム内で検討した結果、最終的に私たちは得意戦法を通すことにしました。そして敗北しました。

半年近く前のことですが、今でもしっかりと覚えています。
Trials最終日。3日間に及ぶ戦いを経て、Green Leavesは勝ち負け同数、Contenders出場のボーダーラインギリギリの位置でした。最終日の勝敗によって、Contendersへの出場が決まるという状況下で、対戦相手は因縁のGlobal Esports。

来たか、という感じでしたね。
彼らもGreen Leavesとほぼ同じで、この対戦結果によって全てが決まる状況でした。

実際に始まってみると、基本的な試合展開はGreen Leavesにとって有利に運びました。こちらの練度の高い戦法に対して、Global Esportsは苦戦を強いられていたと思います。着実に得点を重ね、あと1つだけでもステージを獲ったらGreen Leavesの勝ちという状況にまでもっていくことができました。

ここで自分たちが最も得意とするステージ──Realtoというマップなのですが、このマップが巡ってくるという絶好のチャンスが訪れました。これまでほぼ全てのチームに対して勝ち続け、チーム全員が十分な自信を持っていたマップでした。格上のチームに対してですら、Realtoならば勝てる。いわゆる地元ステージみたいなところです。

しかし試合が始まると、なぜか歯車が噛み合わない。いつものチームとしての一体感が、ここぞという時に発揮できず、滑り落ちていく。あとたった一勝で念願のContendersに出場できるという思いが、チーム全体に予期せぬ緊張を生んだのかもしれません。結局、その地元ステージでまさかの負けを喫してしまいました。

チーム全員、こんなことで動揺してはいけないということは重々承知していたとは思います。しかしそのマップが終わった時、間違いなくチームは内心で動揺していたと思います。誰も口には出しませんでしたが、チームに漂う重苦しい雰囲気は、簡単には拭い去れませんでした。
その動揺が勝敗に直結したかどうかは分かりません。ですが、得意マップを落とした後に待ち構えていたのは苦手マップでした。そしてその苦手マップで相手はカウンターの戦法を使用し、それがGreen Leavesに対する決定的なトドメとなったわけです。
そうして2-3で終わってしまったのが去年のTrialsでした。

今だからこそお聞きしたいのですが、終わった直後はどういうお気持ちでしたか?

hoshimi選手

終わった後は「負けたか」という呆然とした状態になりましたが、自分は正直言ってほとんど引きずってはいませんでした。
相手の方が手札を多く持ち、練習を重ねていた。それだけのことだ。また次にいこう。そういう感じですぐに切り替えました。

『オーバーウォッチ』に対して多くの情熱を注いできた分、敗北の悔しさも多分にあったと思います。しかしそのように切り替えられたのはなぜなのでしょうか?

hoshimi選手

個人的な考えなのですが、負けて悔しいときって、勝てる相手に負けたときなんです。
事前に力が測れない相手とか、強い相手に負けるときって「相手のほうが強かった」「相手の方がしっかりと努力したな」と納得できるんです。実力の積み重ねって、自分たちのチームだけじゃなくて、相手のチームも同じようにやっていることですから。

その強さを得るまでに投資した時間、磨き上げた技術、精神力。そういうのが目に見えるほどに強いチームというのは、確かな時間を濃密に過ごしてきたはずなんです。だから悔しさよりも「相手の方が強かった」という思いの方が大きくなります。納得ができるんです。
去年負けた試合も、接戦ではありましたが、結果的には「戦略の幅」という点において完敗していました。だから悔しいというより、相手の方が強かったと納得できたんです。

必ずしも「負け=悔しい」とはなりません。勝った試合でも内容が良くなければ、心の奥底では悔しさが滲み出てくるものです。逆に負けた試合でも納得できるレベルの相手であり、こちらも実力をしっかりと発揮している試合であれば、気持ちの整理もつきます。次の目標にすぐ向かうことができる。

もちろん負けた当日は色々と考えてしまいましたけど、基本的に寝たら忘れるタイプなので(笑)
ただそういった心持ちが、今回の結果に繋がったのだと思っています。
今年のGreen Leavesは去年と比べて、戦略の幅が広がりました。より強くなっていると感じています。

オーバーウォッチで戦い続けているhoshimi選手として、周辺機器でこだわっていることはありますか?

hoshimi選手

自分の手に合うマウスと、そのマウスと相性の良いマウスパッドを見つけるのは当たり前のことですが、モニターも多くのFPSプレイヤーと同様に中途半端なものは使いません。
ただ他の多くのプレイヤーが見逃しがちなのは、キーボードですね。キーボードはかなりこだわっています。
具体的に言うと、REALFORCE RGBのテンキーレス(R2TLA-JP4G-BK)を使用しています。
まずActuation Point Changer(APC)機能を使って、いくつかのキーの深さを変更しています。
移動等で使うキー(WASD)はすぐにでも反応してほしいので1.5mmなどの浅い設定を適用し、逆にQやSHIFTやEなどのスキルキーでは押しミスを防ぐために3mmなどの深い設定にしています。

自分はあまり押し間違えはしないタイプなのですが、例えば水分補給などで完全にキーボードから手を離した場合に、いつもとは違うポジションに手を戻してしまうことがあります。そういった際に深さを変えておくと、意図しないキーを押すことが無くなります。
またデスクのスペースがそこまで大きくないので、テンキーレスであることはかなり重要視しています。もちろんテンキー有りのキーボードを使用することも可能ではあるのですが、テンキーレスであれば自分の好きな場所におけるくらいスペースに余裕があるので、居心地の良い構え方をとることができます。
加えて大会やイベントで使用するオフライン会場は、自宅の環境とはかなり違います。基本的にデスク周りは狭いことが多いです。そういった場所においてもテンキーレスはかなり実用的です。

そして特に重要な点として、REALFORCE RGBはキータッチの押し心地が軽いということが挙げられます。ゲームプレイというのは意外と長丁場になりがちです。連続したプレイ時間が2時間や3時間を超え始めると、キータッチの軽さというのは想像以上に己のパフォーマンスに影響を与えるようになります。長時間使用しても指先に余計な負担がかからないというのはREALFORCE製品を使用する上で最も大きなメリットだと思っています。

無自覚だった自分の実力

ここからはhoshimi選手のルーツ、過去に迫っていきたいと思います。最初に、対戦ゲームを始めた時期についてお話ししていただけますか?

hoshimi選手

家族がゲーム好きで、家にたくさんのゲーム機がありました。とは言っても一人プレイ用のゲームが多かったので、幼い時は一人でゲームをすることが多かったですね。家庭用ゲームはそういうジャンルのゲームが多かったので。
ただゲーム以外にバスケットボールも好きで、小学校の頃から部活動でバスケをやっていました。自分は沖縄に住んでいるのですが、沖縄ではバスケがかなり流行っていて、相当な市民権を得ているんです。バスケをやる環境も整っていたので、チームプレーというのを意識し始めたのは、ゲームよりもバスケの方が先だったように思います。

PCゲームを最初に触れたのは中学校2年生の頃です。ノートPCをお祝いで買ってもらったのがキッカケでした。そこで『Alliance of Valiant Arms(以下、AVA)』というFPSゲームと出会いました。このゲームが当時すごく新鮮で、とんでもなくハマってしまったんです。一緒にプレイしていた友達すらもほっぽり出して、とりあえずひたすらやっていました。

ただ当時お祝いで買ってもらったノートPCが、オフィス入りで5万円のものだったので、スペックには相当難がありました。多分『AVA』の公式が定めている最低スペックと同じくらいか、もしかしたらそれ以下だったかもしれません。なにせフレームレートが10ほどしか出ていなかったので(笑)。ただそれすらも気にならないくらい、いやむしろそれが普通なのだと思いながら楽しんでいました。

フレームレート10は、お世辞にもゲームができる環境とは言えませんね。その環境が普通ではないと気付いたのはいつ頃でしたか?

hoshimi選手

『AVA』を始めてから半年くらい経った頃、恐らく他人のプレイとかが気になり始めたのかもしれません、動画サイトで『AVA』のプレイ動画を見てみようと思ったんです。そうして見つけた動画を鑑賞していたら、そこで初めて気付きました……フレームレート10でプレイしているのは自分だけだということに。
今考えるとなぜ気付かなかったのかと思いますけど、何も知らない頃の話なので。その事実を知った時には本当に驚きました。皆の世界は別世界だ、と。
当時の貯金をはたいて、すぐにPCを新調しました。

オフィスワーク用のPCからいきなりゲーミングPCへと変わったわけですね。プレイ面で変化はありましたか?

hoshimi選手

変化はすぐに現れました。

『AVA』にはその人の強さの指標になるデータとして、KD(キルデス)という項目があります。相手を倒した回数を、自分が倒された回数で割った数値を示す項目で、古いPCを使っていた時はそれが1を切っていました。0.7とか0.8。敵を倒す前に、自分が倒される確率の方が高かったわけです。
そこから新しいPCを使ってゲームをしていたら、初日のうちに1.8になっていたんです。
驚いたと同時に、実は自分は『AVA』が上手かったのだということを初めて自覚しました。それだけではなく、まだまだ強くなることも予感していました。

そこからクラン戦(チーム戦)へと興味が向き、最終的には当時の有名チームに所属することになりました。たしか中学3年生の頃だったと思います。

そこからチームの世界へと足を踏み入れるわけですね。初めての世界だったと思いますが、振り返ってみていかがですか?

hoshimi選手

今だと結構当たり前のことかもしれませんが、自分が中学三年生の頃というのは、中学生でPCゲームのクラン戦をやっている人は極端に少なかった時代でした。若くても高校生、20歳を超えている人も多かった。そういう中で中学生がプレイするというのは、想像以上に気を使うことも多かったです。衝動的な言動は避け、なるべく理性的にやり取りをしなければ信頼は得られませんし、逆に妙に大人びたやり取りをしてもダメです。チームメイトとは良い意味で対等な関係でいることが重要だと思ってはいますが、一般的な中学生が20歳前後の人と対等なやり取りをするというのは、なかなか難しいことでした。
幸い自分は大人しくて警戒心の強い子供だったので、軽々しい言動はほとんどせず、周りのチームメイトは違和感なく受け入れてくれていたように思います。これに関しては運が良かったですし、良いチームメイトに恵まれたと思っています。

また最近のPCゲームでは若年層が増えつつあり、中学生や、場合によっては小学生がプレイしていることも珍しくはありません。そういった環境の変化につれて、若くて強いプレイヤーが非常に増えてきました。これまでのゲームの世界ではあまり見掛けなかった、英才教育に近い状態が、最近の日本では増えているように感じています。海外では珍しくない事例ではあるのですが、日本でもそういうケースが増え、多くの人が否応にも若いプレイヤーの潜在能力に驚かされるようになりました。
今にして思えば、中学生の頃の自分が想像以上にゲームが上手かったのも、当時周りにいた誰よりも年齢が低かったからかもしれません。

なるほど。そういった若年のうちから始めたチーム戦でしたが、実際のプレイ内容はいかがでしたか?

hoshimi選手

チーム戦に移行したことで、周囲のレベルが明らかに高くなり、日々の活動内容の質も確実に上がりました。ただ自分のゲームの腕に対しては、逆に自信をつけていきました。そういった場においても、周りのほとんどのプレイヤーよりも自分の方が数字的な成績が良かったからです。もちろん、数字に表れない部分──リーダーシップや指示だしなど──については別ですけどね。

しかし高校生になった辺りから学校生活や家族との時間、友人との時間が増えていき、ゲームに没頭する時間は少しずつ減っていきました。『AVA』でも仲の良い友人は居たのですが、その友人も色々な事情で忙しくなってしまい『AVA』から離れていきました。それに伴い『AVA』をプレイする理由自体が無くなってしまったのが、高校一年生の頃でした。いつの間にかゲームをプレイすること自体より、仲の良い友人と一緒にプレイすることの方が大切になっていたんだと思います。

そうして『AVA』をプレイしなくなったと。その後、『オーバーウォッチ』に至るまではどういった変遷を経たのでしょうか?

hoshimi選手

実はオーバーウォッチを始めるよりも前に、一つ重要なゲームを経験しています。『Team Fortress2(以下、TF2)』というゲームです。
このゲームは凄くライトに楽しめるモードが一般的だったので、そこまで時間が取れなくても気軽に遊べるという特徴がありました。当時の自分にとってはうってつけのゲームであり、しばらくはそのモードで遊んでいました。
しかしそういうゲームでも、実は競技的にプレイできるモードが用意されていました。特に海外ではプロシーンも存在していました。そのモードは国内でもそれなりにやっている人達が居たのですが、その中のいくつかのチームから勧誘をされたのです。自分としても『TF2』をかなり楽しんでいたので、そのゲームで競技シーンに身を置いている日本チームには興味がありました。
複数のチームからスカウトされたのですが、その時にあるチームへと加入しました。深い考えはなく、ただ一番早く勧誘してくれたチームに入っただけだったのですが……それが今自分が所属しているGreen Leavesの前身となるチームでした。7年か8年ほど前のことです。

偶然の出会いだったわけですね。

hoshimi選手

はい。しかしこのチームが当初本当に弱くて……(笑)。ただそれもそのはずなんです。当時3年とか5年くらい存続しているチームばかりが居るなか、経験年数1年未満の比較的新しいプレイヤーが集まったチームだったので、なかなか勝つことはできませんでした。新参チームが古参チームに太刀打ちできるようになるには、どうしても時間が掛かりますから。
とは言え、1対1は別です。『TF2』にはチーム戦以外にも1対1で戦える特別なモードがあったんですが、これがとても面白かった。
レート制──勝ったら自分のポイントが増え、負けたらポイントが減る──というシステムを採用していて、いわゆるプレイヤーランキングみたいなものも存在していました。
またそのモードだと普段戦えないような強い人がたくさんいて、凄く刺激的でした。最初の内はボロボロに負けていましたが、毎日やっているうちに徐々に勝てるようになってくるんです。成長していく感覚がどうにも楽しく、夢中でやっていたら、気付いた時には日本国内で一番強くなっていました。
またチームの方も徐々に強くなっていき、最初は国内最弱のチームだったのに、最終的にはアジア2位にまで登り詰めることができました。
『TF2』というゲームではチームにおける個人技と連携力の重要さ、そしてコミュニティに関して多くのことを学んだと思っています。

この『TF2』における活動を経てからしばらくして、『オーバーウォッチ』の活動に携わるようになりました。

本当のプロの世界

今プレイしている『オーバーウォッチ』に関してですが、今までやってきたゲームと比べてどういう難しさがありますか?

hoshimi選手

『オーバーウォッチ』では操作の正確性や瞬発力といったFPS的な強さだけではなく、スキルを上手く使わなければいけません。いわゆるスキル管理というものですが、これがとても難しい。FPS的な強さとスキル管理は、片方だけに特化していては不十分です。どちらともトップレベルに強くなければいけない……非常にマルチな強さを求められました。

『オーバーウォッチ』をやり続けて3年以上になりますが、改めて『オーバーウォッチ』の難しさを感じています。このゲームは本当に特殊なゲームです。
正直に言って、未だに分からないことの方が多いです。これまで数多くのゲームをやってきましたが、その中でも明らかに奥が深い。やり始めたころは「スキルを使うだけのゲーム」だと思っていた時期もありましたが、とんでもない誤解でした。
これまでで一番難しいゲームではないか? そう思うことが多々あります。
ゲーム展開がかなり早いのに、その中でとっさの状況判断が重要になり、そこに加えてスキルをうまく回さなければならず、相手のスキルも管理する必要がありながら、最後には一人称視点での操作の素早さ・正確性がモノを言う。こんなゲーム、他にはありません。
一人一人の能力が違うし、そのキャラクターの大きさや速さも全く違います。求められる能力の幅が広く、深い。

『オーバーウォッチ』をやっていて、良かったと思うことはありますか?

hoshimi選手

本当のプロの世界を知ることができた、ということです。

これまでやってきたゲームではそういう世界が凄く遠かったんです。物理的にも、環境的にも。多くのゲームでプロと呼ばれるチームは、NAやEUの地域にしかなかったからです。
しかし『オーバーウォッチ』はそうではありません。そういったプロフェッショナルの世界に足を踏み入れることができたのは、自分にとってこれまでになく良い経験だと思っています。ただそれは同時に『オーバーウォッチ』は趣味ではなくなったことも意味しています。

趣味ではなくなった、というのは具体的にどういうことでしょうか?

hoshimi選手

優先順位が個人よりも、チーム活動の方が高いということです。
プロ以前の自分にとって、ゲームは第一の存在ではありませんでした。チーム活動があるとはいえ、基本的には個人の事情を優先していました。趣味のために自分の生活や仕事を変えるということを普通はしません。
しかし『オーバーウォッチ』ではほぼ全ての用事、事柄よりもチーム活動を優先しなければいけません。仕事も『オーバーウォッチ』に合わせて調整していました。日によって体調も精神的な状態も違う中で、ほぼ毎日活動しなければならないのは、正直言ってキツイです。
でも辞めようと思ったことはほとんどありません。

なぜ辞めようと思わなかったのでしょうか?

hoshimi選手

多分、単純に『オーバーウォッチ』というゲームが面白いからですね。
あとは自分が所属し続けているGreen Leavesがどこまで行けるのかっていうのを見せたいし、試してみたいという思いがあります。

hoshimi選手はGreen Leavesに長く所属していますが、『オーバーウォッチ』において一つのチームだけに所属するプレイヤーというのは日本国内だけではなく世界的に見ても類を見ません。なぜこれほどまでに長くGreen Leavesに所属しているのでしょうか?

hoshimi選手

特別な理由はないですよ。いつの間にかホームになっちゃった、って感じです(笑)。とは言え、自分が他のチームに行くっていうのは全く想像できません。Green Leavesに居過ぎました。
あと昔は社会人チームだったからというのは大きいかもしれません。ほとんど社会人で構成されていて、なおかつ国内で競技シーンに身を預けていたチームは他にありませんでしたから。

今は海外シーンへ照準を向けているので、メンバーにも変更が加えられました。例えば海外遠征も可能なことを条件に活動しているので、社会人を両立しながら活動しているプレイヤーはほとんど居ません。
そして今もなお自分は社会人として仕事をしながら、プロゲーマーとしての活動を行っています。

これほどの舞台で活躍するプロゲーマーが、社会人としても活動しているのは並大抵のことではないと思います。正直、見えない苦労も相当あると思いますが。

hoshimi選手

仕事をやりながら第一線で活動し続けるのは、想像を遥かに超えて大変です。でも今しかできないことで、自分が決めてやっていることですし、もちろん滅茶苦茶疲れてストレス抱えている状態で練習が控えていると「無理だぁ~」と思うこともありますが、それでもやり続けています。
自分がやると決めたことはやり通したい。そういう想いはあります。

上達への王道とこだわり

ゲームを上手くなるために工夫していることはありますか?

hoshimi選手

最も重要なのは、上手い人の配信を見ることです。特に動画や録画は停止や巻き戻しができるので、効果が大きいです。
もちろんただ見るだけではダメです。配信や動画を見ながら「なぜ(上手い人は)こういうプレイをしたのか」「もし自分ならどうしたか」といったことを考えるんです。これを意識して実践することで、ぐっとゲームの腕が伸びます。
これまでやってきた全てのゲームに共通する、上達への近道です。

あと毎日プレイすること。とにかくプレイに時間を費やす。
ゲームによってマウスの動かし方というのは全然違います。特に『オーバーウォッチ』では二桁以上の操作キャラクターが存在していますが、それぞれでマウスの動かし方や必要な操作技術は違います。例えばソルジャーというキャラクターでは吸い込まれるようにピッタリとくっつくトラッキングエイムが有効になります。しかしこれがウィドウメーカーというキャラクターになると、瞬発的に標的を捉えるフリックエイムが強力な武器となります。またファラというキャラクターの場合は、相手の動きを予測して数メートル先に打ち込む偏差打ちという特殊な操作感覚が必要となります。
これらの操作技術はそれぞれ全く違う動きになりますが、解決方法は一緒だと思っています。
練習量を増やしてゲームに慣れる。そして並行して配信や動画などを参考にする。全てのゲームに通じる、王道の手法だと確信しています。

家族、そしてこれから

プロゲーマーとして活動することに関して、家族はどのような反応をされていますか?

hoshimi選手

家族はゲーム好きな家庭だったので全く反対はされませんでした。むしろ応援してくれている部分もあるくらいです。特に母親と、小学4年生の弟が応援してくれています。

もしかして弟さんもゲームをやっていたりしていますか?

hoshimi選手

弟は今スプラトゥーンにハマっていますよ。自分とは対照的な性格で、良い意味でも悪い意味でもゲーマーっぽく成長しています。微笑ましいです。ただ実は最近、弟がPCゲームをやりたがっているんです。流石にそれはまだ早いと言って、止めている状態ですね。

なるほど。PCゲームをやらせるのはhoshimi選手にとっても不安でしょうか?

hoshimi選手

もし本当にやらせるとしても、小学6年生くらいからやらせようかなと考えています。小学4年生でPCを触らせるのはさすがに不安ですから。
私がPCゲームを触り始めた頃は、それなりにセルフコントロールができていたので良かったのですが、全員が全員そうだとは思っていません。
やることをやってゲームができる人と、そうではない人が居ると考えています。弟がちゃんと精神的に自立した人間になってから、PCゲームを触らせてあげたいなと思っています。

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

hoshimi選手

最終的な目標は、Contendersを優勝することです。自分たちの力量だけで目指せる、一番高い山です。
仕事と両立しながら、これまで多くの山を登ってきました。これからどれほどの山を超えていけるのかは分かりませんが、これまでと同様に多くの山を越えていきたいですし、その姿を多くの人に見せていければと思っています。